タケノコの季節

春が来れば思い出す・・・タケノコの味、母の味

タケノコご飯

というほど大袈裟なものではないのですが、
3月中旬に早生のタケノコがデパ地下の食品売り場に顔を見せるようになると、心がウキウキします。

もう少し大きいのがリーズナブルな価格で店頭に出るようになったら、
二つ三つまとめ買いして、大鍋で炊いて一晩寝かせて、
翌日には、タケノコご飯、若竹煮か土佐煮、
そしてウドやフキと炊き合わせ・・と妄想が広がります。

今年最初のタケノコは4月2日(福岡産)でした。

大ぶりのタケノコを3つ抱えて帰宅し、すぐに外皮をむいて米ぬかと赤唐辛子を加えて、
1時間ほど茹でてそのまま一晩おきました。
翌朝根元の硬いところと穂先部分を合わせて600g計って、会社に持参します。

10時半には白米を研ぎ、油揚げ2枚と鶏もも肉200gほどを細切れにし、
小さく切ったタケノコと合わせて、甘酒(砂糖の代わり)と醤油麹(醤油の代わり)と、
酒少々と水で煮含めて、その汁に水を足して白米を炊きます。
炊き上がったら炊飯器の蓋を開けて汁気を切った煮具材をのせて
もう一度蓋をして全体を蒸らして、さあ出来上がりです。

タケノコご飯

我が家では昔からタケノコご飯に鶏肉が入っているのが当たり前でしたが、
10年ほど前に自宅で友人にふるまったら、「ヒラキはタケノコご飯に鶏肉を入れるのか!」と驚かれました。

随分しつこい味になる、というのがその友人の言い分。
確かにタケノコのえぐみ込みの香りを楽しむなら、
タケノコだけというシンプルな炊き方もありかもしれませんね。

でも私の場合、タケノコの一番おいしい部分はやはりカツオ出汁を効かせて
若竹煮に誂たいので、ご飯にはその残りの硬い部分を中心に使います。
だから鶏肉と油揚げで味を深くするのがおいしいという気がするのですね。

タケノコご飯を炊いて出す食卓では、おかずは凝りません。
味噌汁はあさり汁、山ウドの酢味噌和え、セリの辛し和え、香の物で十分です。

お味噌汁

母が春に何度も作ってくれたタケノコご飯の夕食では、タケノコご飯と味噌汁だけでした。

父が焼き海苔をあぶって細切りにし、それを振りかけて、何杯もお替りしました。
生のタケノコを見つけると父が海苔をあぶる香りが今でも漂ってくる気がします。

願わくは花を観ながら春死なん 最後の食卓はタケノコご飯。

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